ばらの花の女の子

まだ数回くらいしか会ったことがないのだけど

会ったと言ってもそれは

「お店の中」で「僕だよ」って顔をして

「こんにちわ」って軽いあいさつをするくらいの関係で

でも何となく印象に残っているお客さんと言うか

初めてお店に来てくれた時

メニューの中から「ばらの花」を注文してくれて

「ばらの花」は女の子が注文するドリンクメニューの中で

統計を取った訳ではないものの

きっと2番か3番くらいに人気があるメニューで 

メニューを考える時に思いついた

「ばらの花」→「くるりのジンジャーエール」と言う

甘酸っぱい方程式も盛り込んだ思い入れの強い飲み物で

「ばらの花の女の子」はメニューを見てすぐに気がついたのか

間髪入れずに「くるりが好きなんですか?」と質問してくれて

とにかく「ばらの花」を美味しそうに飲むその女の子をボクは

「ばらの花の女の子」とこっそりあだ名を付けて呼んでいました


確か遠くに住んでいるにも関わらず

オープンして間もなく

お客さんが今より全然少なくて

「困ったなー」、「どーしようかな」なんて

弱気になっていた真冬の週末に

たくさんの友達を引き連れてお店にやって来てくれた彼女

その後も何度か足を運んでくれて

ホットチョコレートを飲むこともあれば

コーヒーを飲むこともあったのだけど

その子の名前を知らないボクは

影でこっそり「ばらの花の女の子」と呼び続けていました


1年ののち

つい先日

久しぶりにお店に遊びに来てくれた「ばらの花の女の子」

「ばらの花の女の子」が注文してくれた「ばらの花」を

こぼさないように慎重にテーブルに持っていき

なんとも嬉しくなったボクはすぐに

曲の合間を縫って誰にも気付かれないように

BGMをくるりの「ばらの花」に変えて上機嫌でした

gomashio-kitchen(ゴマシオキッチン)

君と僕の喫茶店

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