落陽

「若いお客さん」なんて言ったら失礼な感じもするけど

若いお客さんがいるだけで店内が「パッ」と明るくなる気がします


「この感じ」をなんて言ったらいいのか難しいけど

「重なる」と言うか「繰り返す」と言うか

それはちょっと前までの自分を見ているみたいで

彼女とごはんを食べたりコーヒーを飲んだり

とりあえず毎回違う席に座ってみたり

流れているCDが気になって勇気を出して店員さんに聞いてみたり

綺麗に整頓された本棚から普段読まないような難しい本を手にとってみて

如何にもな感じで読んでみたり、読んでもさっぱり分からなかったり

まだ若かった僕にはとにかく時間だけは売るほどあって

いろんな所に行ってみたり誰かを思ったり

若者らしいことはそれなりに一通りして

それでも余りある時間をどう使って良いのか分からなくて

1日中図書館にいることもあれば

ツタヤのレンタルコーナーを端から端まで見ては

気になる音楽や映画を片っ端から借りて

結局わざわざ喫茶店に行っては、カフェに行っては

ボーっとしたりアイスコーヒーを飲んだりして

「若い」って「若い」だけで凄く価値のある事で

もう僕はそんなに若くもないのでしょうね


若いお客さんの遠慮がちな目線はまっすぐで

まるでいつかの君と僕なのでしょう

そんな訳もあって僕は若いお客さんにはちゃんと優しくしてあげるんだ



gomashio-kitchen(ゴマシオキッチン)

君と僕の喫茶店

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